無文

平家物語:無文 朗読mp3

平家物語巻第三「無文(むもん)」です。平重盛は平家滅亡を暗示する夢を見て、大臣葬の時に用いる「無文の太刀」を、息子維盛に託します。重盛の追悼話群の一つです。


あらすじ

生前の重盛は、不思議な霊感を持った人でした。ある時、夢を見ます。春日大名神の鳥居のそばに首を高く掲げた僧がいます。「あの首は何ですか」と聞くと「平家太政入道(清盛)の悪行が限度を超したので、春日大明神が召し取られたのだ」と答えがあり、目が覚めます。

重盛はこの夢で平家の運命が尽きたことを悟り、涙を流すのでした。

その時、夜中だというのに瀬尾太郎兼康(せのおのたろう かねやす)が訪ねてきます。聞くと、重盛が見たと全く同じ夢を見たといいます。これを機に重盛は兼康が神に通じる力を持っていると感じるようになります。

次の朝、嫡子権亮少将維盛(ごんのすけしょうしょう これもり)を呼び出し、酒をふるまい、「無文の太刀」を託します。

「無文の太刀」は大臣葬の時使う儀式用の太刀で、入道清盛に万一のことがあった場合、重盛が扱うべきものでした。

しかし重盛は、「自分は入道殿に先立つことになろうから」と、維盛に無文の太刀を託すのでした。維盛は涙を流しました。

重盛が亡くなったのは、その後熊野参詣をして、しばらく後のことでした。


医師問答」で重盛の死が描かれて、その後何話か重盛の生前のエピソードが語られます(追悼話群)。

重盛、維盛父子の語らいがいい感じです。維盛の台詞はないですが、二人の間で交わされたであろういろいろなやり取り、固い絆を想像させる章です。維盛は死の直前、熊野参詣をして父のことを思い出しています(「熊野参詣」)。

「人の親としてこんなことを言うのはおこがましいが、お前はよその子と比べても特別すぐれた子だと思う」とか前置きをして喋り始めるところとか、微笑ましく思いました。


posted by 左大臣光永 | 平家繁栄

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