安禄山の乱で捕虜になった杜甫は、戦乱によって荒れ果てた長安の都を見下ろし、その思いを詩に綴ります。
国破山河在
城春草木深
感時花潅涙
恨別鳥驚心
烽火連三月
家書抵萬金
白頭掻更短
渾欲不勝簪
國破れて 山河あり
城春にして 草木深し
時に感じては 花にも涙を濺ぎ
別れを恨んでは 鳥にも心を驚かす
烽火三月に連なり
家書万金に抵たる
白頭掻けば更に短く
渾べて簪に勝へざらんと欲す
杜甫(712〜770)。「詩聖」と称され、李白(詩仙)と並び賞される、唐代髄一の詩人。字(あざな)は子美。号は少陵。河南省の出身。
33歳の時、洛陽で李白と知り合い、以後固い友情を結びます。
40歳すぎまで官職にめぐまれず、また病気がちで大変だったようです。
杜甫の生きたのは唐の玄宗皇帝と楊貴妃の時代。
その治世末期の西暦755年、節度使長官の安禄山が唐皇室に対して反旗を翻します。
この反乱のさなか杜甫は安禄山軍に捕らえられ、妻子とも引き離されてしまいます。
捕虜生活のなか、たまたま許しを得て丘の上から長安の都を見下ろす機会を得た杜甫はショックを受けます。
華やかだった都は長引く戦で荒れ果て、草木の緑だけがうっそうと繁っていたのです。
その感慨から後世に残る名詩「春望」が生まれました。李白47歳時(757年)の作です。
安禄山の名は平家物語「祇園精舎」に、「おごれる者」の実例として出てきます。
玄宗皇帝と楊貴妃のことは白楽天「長恨歌」に歌われています。
杜甫の苦渋が出るよう朗読しました。br>
「花に涙を注ぎ/鳥に心を驚かす」と言ってますが、これは別に風流ぶってるのでなく、そんな余裕はなく、
心の底から絶望して涙を流してるのです。
「キレイな花だなぁ、鳥の声いいなぁ」ではなく。悲しみで胸が張り裂けるのです。
そこを注意して朗読しました。