殿下乗合

平家物語:殿下乗合(一)朗読mp3
平家物語:殿下乗合(二)朗読mp3

平家物語巻一より「殿下乗合(てんがの のりあい)」です。
清盛が孫の仕返しに摂政藤原基房の行列を襲わせます。youtubeにアップしました。



平家物語の中でも露骨な虚構として有名な、「殿下乗合」です。
13歳の平資盛一行は、摂政藤原基房の車の前で下馬の礼を取らなかったため、車から引きずりおろされ、ひどい辱めを受けます。
怒った清盛は息子重盛の諌めもきかず、侍どもに基房の行列を襲撃させ、武士たちのもとどりを切り落とす、という話です。

慈円の『愚管抄』によると実際に襲撃させたのは重盛で、むしろ清盛のほうが諌めたらしいですが、平家物語では清盛は悪玉、重盛は善玉と決まっています。
重盛は聖人君主でないといけないのです。

そんな「史実はこうだった」とか「熊谷直実が出家したのは実は敦盛を討って ずっと後だ」とか「鳥の羽音に驚いたのは虚構だ」とかどうでもいいことで、平家物語というテキストが、 重盛善人ということで進行しているのですから、それに愚直に従うのが正しい朗読だと思います。

「平家一の識者であった重盛が死に、平家の凋落が始まる」という図式は、 なかなかわかり易くていいと思います。
そもそも道端で民衆を相手にも語られていた平家物語ですから、そんな「重盛は実は 乱暴な側面もあって…」とか、小難しいことを言ってもしゃあないんですよ。
登場人物を徹底してステレオタイプに描いた作者の姿勢には好感を持ってます。

平家物語は文章からして様式的です。合戦の場面など決まり文句のオンパレードです。
「おめき叫んで攻め戦う」とか「火出づるほどにぞ攻めたりける」とか。
この様式を楽しむぺきで、人物造形の深みがどーのこーのと語るべきではないと思います。
ただリアリティという観点から見ると、この清盛の行動は愚かすぎて変と思いました…。


posted by 左大臣光永 | 平家繁栄

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