僧都死去

平家物語:僧都死去 朗読mp3

平家物語巻第三より「僧都死去(そうず しきょ)」です。
有王からすでに妻子が亡くなったことを聞いた俊寛は、食を断ち、その命を終えます。


あらすじ

有王は鬼界ケ島に一人残された俊寛を訪ね、海を渡りました。
そして変わり果てた姿になった俊寛に対面します(「有王」)。

身内の消息を尋ねる俊寛に、有王は 若君も北の方も既に亡くなったことを告げ、 姫御前の手紙を差し出します。

俊寛は、その手紙の年のわりに幼稚な書きように、姫の行く末を案じます(補)。
しかし嘆きながらもなんとか生き延びてくれるだろうと、食を断ち、有王が鬼界ケ島に到着してから二十三日目に有王に見守られながらその命を終えます。

有王は俊寛の遺体を荼毘に付し、都へ帰り、姫御前にこのことを報告します。

姫御前は十二歳で尼になり、奈良の法華寺で父母の後世を弔いました。

有王は俊寛の遺骨を首にかけ、高野の奥の院に治め、蓮華谷で法師になり、 諸国を修行しながら俊寛の後世を弔いました。

■ 補足 ■
人の親の心は闇にあらね共、子を思ふ道にまよふ程も知られける。

人の親の 心は闇にあらねども 子を思ふ道に まどひぬるかな」(藤原兼輔)を踏まえる。
(人の親の心は闇というわけではないが、子供のを思う時、闇夜を迷うように どうしていいかわからなくなってしまうものだなあ)

朗読について

俊寛の台詞は詩のように美しいリズムを持っています。
悲痛な中にも、情緒がただよいます。特に、季節感を盛り込んだ対句が素晴らしいです。

この島へ流されて後は、暦もなければ、月日の変わり行くをも知らず。
ただおのづから花の散り、葉の落つるを見て、春秋をわきまへ、
蝉の声、麦秋を送れば夏とおもひ、雪のつもるを冬と知る。
白月・黒月のかはり行くを見て三十日をわきまへ、指をおってかぞふれば、 今年は六になるとおもひつる幼き人者も、はや先立ちけるござんなれ…


平家物語はしかし、最後まで俊寛の魂に明確な救いを与えていないような気がします。
なにかモヤモヤしたものが残ります。
自分をついに迎えに来なかった丹波少将のことを、俊寛は許したのでしょうか。
複雑な気分で朗読しました。


posted by 左大臣光永 | 平家繁栄

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