鴨長明「方丈記」は、平家物語で描かれたのと同時代を扱っており、重なる記述が多いです。この元暦の地震の文章も、平家物語巻第
十二「大地震」と大変似通っていて、興味深いです。
冒頭「行く河の流れは絶えずして…」から始まる書き出しは、特に
有名ですね。平家物語冒頭「祇園精舎」で描かれた「諸行無常」
につながる厭世感があります。
(ただし、本来の「諸行無常」は悲しみや嘆きさえ「無常」であり、「諸行無常だから悲しい」という考えは、日本独自のものらしいです)
作者の鴨長明は、出世の道を閉ざされたことと、数々の災害を
目の当たりにしたことから、世をはかなみ、出家隠遁生活に入ります。
構成としては、有名な冒頭部分で世のはかなさを訴えた後、具体例として
同時代を襲ったいくつかの災害を描写。「ああ、世の中はイヤだ。
出家するのだ」そして草庵ののどかな生活が描かれますが、しまいには「出家生活に執着することすら悟りきれてない
証拠だ」という認識に至る…そんな流れです。
なお、聞きなれない言葉ですが「地震」と書いて「なゐ(ない)」と読みます。「な」は土地、「い」は居の意らしいです。
「方丈記」の冒頭部分はこちらで朗読しています。
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