平家物語巻第九より「落足(おちあし)」です。
一の谷の合戦終盤の様子が描かれます。
あらすじ
義経の坂落作戦により(「坂落」)平家軍は壊走し、各地で討たれます。
備中守師盛(びっちゅうのかみ もろもり)は舟で撤退するところでしたが
味方の侍に呼び止められ舟に乗せとしたところ舟がひっくり返り、
海に投げ出されます。そこを源氏に引上げられ、首を刎ねられます。
越前三位通盛(えちぜんのさんみ みちもり)は味方から分断され
弟の能登殿(教経)ともはぐれ、敵七騎に囲まれ討たれます。
この一の谷の合戦で平家の主だった人々のうち十人が命を落としました
(「忠教最後」「知章最期」「敦盛最期」)。
一の谷の合戦のしめくくり的な章です。
次章「小宰相身投」では通盛の北の方(奥さん)が夫が討たれたのを聞き
自害します。
心苦しくてざっと読むのもつらい章です。凄惨さという
点では平家物語の中でも一二を争と思います。
「忠臣は二君(じくん)につかへず、貞女は二夫(じふ)にまみえず」と
平家物語は語ります。
「かは」「ひやうずば(ひょうズバ)」など、擬音の使い方にも注目したい章です。
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