平家物語巻第七「平家山門連署(へいけさんもんへのれんじょ)」です。
木曽義仲の上洛に際し平家は延暦寺に書状を送り、平家に味方するよう呼びかけます。
しかし比叡山はすでに源氏に与することを決定した後でした。
あらすじ
木曽義仲の書状によって、山門(比叡山延暦寺)は義仲に同心することに決定しました(「木曽山門牒状」「返牒」)。
平家はそれを知らず、比叡山に書状を送ります。
源頼朝、木曽義仲、源行家、またそれに同心する源氏らの暴虐を訴え、
もともと延暦寺を創設した桓武天皇は平家の先祖でもあり、平家と
山門は根を同じくするものだ、
もし平家に味方するなら末長く平家と山門は苦楽を共にするだろうと訴えます。
天台座主明雲大僧正は三日間祈祷した後この書状を衆徒に公表しました。
すると最初はなかった一首の歌が願書の包み紙にあらわれていました。
たひらかに 花さくやども 年ふれば 西へかたぶく 月とこそなれ
(意味)平穏無事に花が咲き繁栄していた宿も年月が経てば
西に傾く月のように衰退することよ。「たひら…」に「平家」を懸ける。
すでに源氏に味方すると書状を送った以上、いまさら身を翻すわけにもいかないと、
誰も平家に味方しませんでした。
「木曽山門牒状」「返牒」に続き、手紙メインの話です。朗々と読み上げるとなかなか気持ちいいものです。
いかめしい文体ですが、ようは「平家に味方してくれ!」と願ってるのです。必死です。
10人の平家の名前読み上げが大変で何度も舌を噛みそうになりました。
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