少将乞請

『平家物語』巻第ニより「少将乞請」。

新大納言成親が鹿谷事件の主犯として清盛に捕らえられたことに伴い、成親の息子、丹波少将成経(たんばのしょうしょう なりつね)のもとにも捕縛の手がさしむけられる。

清盛の弟、門脇宰相教盛(かどわきのさいしょう のりもり)は娘婿の成経を助けるため清盛に面会を求めるが…

あらすじ

丹波少将成経が法皇の御所法住寺殿に宿直していると、大納言の侍どもが来て、父成親が清盛につかまったことを告げた。

ついで宰相殿から使いがとどく。宰相殿とは入道清盛の弟教盛で丹波少将の舅である。

「入道相国が西八条へお連れせよとのことです」というので、少将は法皇の女房たちに事の次第をつげた。法皇は驚かれ、成経と対面なさる。

しばらく法皇との別れを惜しんだ後、少将は泣く泣く御前を去る。法皇はつくづく末代の世を厭われた。

少将の妻は近く出産をひかえていたが、少将が召し捕られるということで、命も消え果てそうな心地である。

少将の乳母、六条も、少将の行く末を案じ、嘆いた。

少将は妻と六条をなだめ、宰相の車の後に乗って出発した。

西八条近くで清盛に取次を申し入れるが、清盛は少将を入れるなと拒むので、近くの侍の家に少将をおろして、宰相だけが門の内に入る。

しかし清盛が会わないので、宰相は源大夫判官季貞を清盛のもとに遣わし、しばらく少将を私に預けてくださいと頼む。

清盛がこれを拒むと、宰相は出家すると言い出す。清盛は驚き、しばらく宰相が少将を預かることをみとめた。

少将は宰相を待ち受けて、「どうなりました」ときくと、しばらく教盛の家で預かりおくことになったが、先はどうなるかわからないという。

ついで少将が父大納言のことを宰相にたずねると、宰相は「大納言の助命まではわからない」というので、

少将は自分ひとり生きても仕方ない。父と一緒に死ねるように取り計らってくださいと宰相に頼む。

宰相は、大納言のことは内大臣(重盛)がとりなされたので大丈夫だろうと少将をはげます。

宰相と少将はふたたび車に乗り、帰っていった。家では女房たちが死んだ者が生き返ったように喜び泣きなどした。

posted by 左大臣光永 | 平家繁栄
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