公卿揃

『平家物語』巻第三より「公卿揃(くぎょうぞろえ)」。

中宮徳子の御産に際し、いくつかの「不思議」…異常な出来事が語られます。それは一つ一つは大したことでないが、後になると、思い当たることが多いものでした。

あらすじ

中宮徳子の御産に際し、乳母として前右大将宗盛の北の方にかわって平大納言時忠卿の北の方、帥佐殿(そつのすけどの)が参じられた。

後白河法皇は安産祈願の祈祷を終えると御所に帰っていかれた。

今度の御産に異常な出来事が多かった。

まず法皇みずからが験者をつとめられたこと。

次に后ご出産の時、庇から甑(こしき)を転げ落とす習慣があるが、皇子ご誕生には南へ落とし、皇女ご誕生に北へおとすのを、いったん北に落としたため、やり直して南へ落としたこと。

次に七人の陰陽師を召して千度の御祓をすることになったが、その中に掃部頭時晴(かもんのかみ ときはる)という老人が、右の沓が脱げてしまい、冠までも突き落とされてしまったこと。

若い公卿・殿上人はそれを見て笑ったが、陰陽師などは足を踏み降ろす時でもいい加減にはやらないもの。それなのにこのような珍事があったのは、当時は意味がわからなかったが、後になって思い当たる事も多かった。

御産に際して六波羅においでになる人々は、関白松殿(藤原基房)、太政大臣妙音院殿(藤原師長)、左大臣大炊御門(経宗)、右大臣月輪殿(九条兼実)以下の33人であった。

posted by 左大臣光永 | 平家繁栄