平家物語巻第九より「坂落(さかおとし)」です。
義経が鵯越のガケを駆け下りて、平家の陣に奇襲をかけます。
一の谷の戦いの中の一幕「鵯越(ひよどりごえ)」として知られるエピソードです。アクション描写に注意し再録しました。
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あらすじ
一の谷の戦いは、その激しさを増します。
大将軍源義経は、一の谷の後ろ、鵯越(ひよどりごえ)という高台に上り、
坂をかけおりて平家の陣に駆け下り奇襲をかけます。
途中、傾斜の一部でっぱっている所に落ち、「これが最後か?」という局面もありますが、、
三千余騎が無事、平家の陣までかけ落ちます。
平地に着くと、すぐに平家の陣に火を放ちます。
奇襲に驚いた平家方は海に駆け出します。
停泊していた船に逃れようとしますが、たくさんの者が海に溺れ死に、味方に切られる者もあり、大混乱となりました。
朗読について
立ち上がりのいい太い声を出すことに気をつけて
再録しました。やはり平家物語ですから。イジケた暗い声で朗読しては
ナランのです。やかましいくらいが丁度いいです。
時々音が割れて
耳障りなノイズが入るくらいが勢いがあって若くて好きです。か細い声でうまい朗読よりも、下手でも声が出ていたほうがいいやという思想です。
「後陣に続く人々のあぶみの鼻は、先陣の鎧・かぶとにあたるほどなり」
「大磐石の苔むしたるが、つるべ落としに十四五丈ぞくだったる」
土ぼこりがブワーーッと舞い、ウォーウォーと鬨の声が響く。その場の空気まで伝わるようで
す。
平家物語は地味で陰鬱で朗読すると暗い気持ちになる段のほうがむしろ多いですが、
この「坂落」前半部分は爽快でストレス解消になると思います。
「乗せじとする舟にとりつき、つかみつき、或いは腕うちきられ、或いはひぢ打ち落とされて
、
一の谷の汀にあけになってぞ並み臥したる」
たたみかける短い文節の連打。平家の大混乱っぷりが、言葉の向こうに浮かんできます。
ただし、ここは味方同士足をひっぱりあって屍骸が累々と並ぶ悲壮なところですので、勇ましく朗読してはイカンです。
主にそこに注意して再録しました。