平家物語巻第四より「三井寺炎上(みいでら えんしょう)」です。
以仁王、源頼政らによる平家へのクーデターは失敗に終わり、
これに加担した大津の三井寺を、平家は焼き討ちにします。
朗読について
大好きな「三井寺炎上」です。7回目の再録です。ようやく理想の「三井寺炎上」に近づいてきた気がします。
以前はいいマイクを使って繊細な音を録音しよう、みたいなのがありました。しかし最近はマイクにはこだわりません。声をガンガン出すことが大事で、機材なんて安物でええんじゃと。そんな考えです。ショボいハンデーレコーダーで録ってます。
声枯れはだいぶ改善されてきた気がします。
平家物語の中でも朗読する気持ちよさは、一、二を争うと思います。
以前は安い真空管アンプで録ったボワッとした音だったので、録りなおしました。やはり人の声を表現するにはトランジスタアンプのほうが向いてる気がします。
サビは中盤の、「焼き討ちにあった施設」を列挙するくだりです。
本覚院、成喜院、真如院、花園院、普賢堂、大宝院、清滝院、教大和尚(かしょう)の本坊、
ならびに本尊堂、八間四面の大講堂、鐘楼、経蔵、灌頂堂、護法善神の社壇、新熊野(いまぐまの)の
御宝殿、そうじて堂舎、塔廟六百三十七宇、大津の在家一千八百五十三宇、智証のわたし給へる
一切経七千余巻、仏像二千余体、たちまちに煙となるこそかなしけれ。
諸天五妙のたのしみも、この時ながく尽き、竜神三熱の苦しみも、いよいよ盛んなるらんとぞ見えし
言葉が難しく、具体的なイメージはサッパリ沸きませんが、(だいたい和尚をなぜカショウと
読むのか!)ワーーッと激しく、炎が次々に広がっていく様子が、畳み掛ける言葉の向こうに
見えてきます。
朗読というよりぜんぶ暗記して、一気に歌い上げたい場面です。途切れ途切れ読んで後で編集すると、勢いが死にます。一気にやらないと。息継ぎの音も、編集で消さず、残すべきだと思います。
琵琶法師がここを歌い上げた時は盛大な拍手が鳴ったことでしょう。
それくらい気持ちのいい、「三井寺炎上」…。素晴らしい。
よく、「朗読は、聞き取り易いように、ゆっくりと読もう」と言いますが、こういう箇所は、調子に乗って
ハイスピードで読むほうがいいに決まってます。
言葉の意味よりも、勢いが大切です。