朗読 平家物語一の谷 忠度最期

忠度最期

平家物語巻第九より「忠度最期(ただのりの さいご)」です。
薩摩守忠度は一の谷から敗走中、討ち取られます。



平家物語:忠教最期 朗読mp3

あらすじ

薩摩守忠度は、一の谷から敗走するさなか、源氏の武士、岡部の六弥太忠純(おかべのろくやた ただずみ)に 呼び止められます。

「味方だ」とやり過ごそうとしますが、お歯黒に気づかれてしまいます。
六弥太忠純は、「源氏にお歯黒などする者はいない。平家の名のある公達に違いない」と、 忠度と組みます。

忠教は、六弥太を取り押さえ首をとろうとしますが、 そこへ六弥太の童が飛んできて忠度の右腕を切り落とします。

忠度はもはやこれまでと、西に向かい念仏を唱えます。
六弥太が後ろから近寄り、忠度の首を討ちます。

箙(えびら。矢を入れる入れ物)に結び付けられた文から、薩摩守忠度とわかります。

「行き暮れて 木のしたかげを やどとせば 花やこよいの あるじならまし」
(意味)旅の途中で日が暮れてしまった。今夜はこの桜の木の元で休むとしよう。 この桜の花が今夜の宿のあるじとなって、風流にもてなしてくれるだろう

薩摩守忠度の首をとったことを六弥太忠純が大声で宣言すると、敵も味方も 「惜しい人を亡くした」と涙を流すのでした。


忠度都落」では都落ちに際し歌道の師、俊成に歌を託した薩摩守忠度。
最期の時も、「歌」にからんだエピソードです。

平家物語に「歌」が鍵になっている話は多いですが、 この「忠度最期」に登場する忠度の最期の歌

「行き暮れて 木のしたかげを やどとせば 花やこよいの あるじならまし」

わかり易く、風流で、しかも明るい。いい歌です。
忠度の人柄がよく出ています。

この「忠度最期」のエピソードは、唱歌「青葉の笛」の中で歌われています。

更(ふ)くる夜半(よは)に門(かど)を敲(たた)き
わが師に託せし言の葉哀れ
今わの際(きわ)まで持ちし箙(えびら)に
残れるは「花や今宵」の歌



posted by 左大臣光永 | 一の谷