平家物語:木曽最期(二) 朗読mp3
平家物語巻第九より「木曽最期(木曾最期)(きその さいご)」です。
木曽義仲が遂に討たれます。それを見届けた今井四郎兼平は壮絶な自害を遂げます。とにかく叫びまくる章です。3回目くらいです。
あらすじ
義仲は六条河原で奮戦しますが、多勢に無勢。さんざんに破られ、愛妾の巴を含む主従七騎のみになって落ちていきます。
「死ぬときは一緒」と誓った、乳母子の今井四郎兼平の行方を追って義仲は勢田方面を目指します。
今井四郎も義仲を心配して都へ引き返す所でした。
二人は大津の打出の浜で落ち合い、再会を喜びます。
今井が旗を揚げさせると、あちこちから三百騎ばかりが集まってきます。
義仲は最後の戦ができると喜び、敵の中に真っ先に駆け入っていきます。
義仲は敵六千騎を相手に奮戦しますが幾重にも張られた敵の陣を破っていく内に多くの味方を失い、残ったのは僅かに主従五騎。その中に愛妾の巴もいました。
義仲は巴を説得し、落ち伸びさせます。
巴は最後の戦とばかりに敵の首をねじ切り、東国へ落ちていきました。
残ったのは義仲と今井四郎の主従二騎。今井四郎は、自分がここで敵を食い止める間に、あの粟津の松原で
自害してくださいと義仲に強くすすめます。
今井四郎が奮戦している間、義仲は粟津の松原へ向かいますが、時に正月二十一日。薄氷の張った
深い田に馬を乗り入れてしまい、身動きが取れなくなります。
今井の行方を心配し、振り向く義仲。そこへ三浦石田次郎為久が放った矢が命中し、
義仲は遂に首をとられてしまいます。
義仲の死を確かめた今井四郎は、太刀の先を口に含み、馬からさかさまに飛び降り、壮絶な自害を遂げるのでした。
「木曽最期」について
「木曽最期」と銘打っていますが、「今井最期」といいたいとろこです。今井四郎兼平の
活躍が際立っています。
今まで威勢のよかった義仲は、すごく気が弱くなってます。
「日頃は何とも思えぬ鎧が今日は重うなったるぞや」
すごくリアルで、不吉な台詞です。
木曽義仲に最期まで従ってきた巴御前はあっさり振られ、義仲は男の友情を
取りますす。
最期まで一緒に戦いたかったろうに。巴、哀れです。
「首ねじきッてすててんげり」というすさまじい表現に、巴のやるせない気持ちが現れています。
朗読について
「能登殿最期」と並んで、朗読すると確実に酸素が薄くなる章です。
「サ」の発音が難しかったです。
尊敬をあらわす「させ給ふ」が連打で来るので、舌を噛みます。
今井四郎「敵におしへだてられ、言うかいなき人、郎党にくみ落とされ給て討たれさせ給なば、
『さばかり日本国に聞こえさせ給いつる木曽殿をば、それがしの郎党の討ちたてまったる』なんど申さん事こそ口惜う候へ」