重盛は、後白河法皇の身柄を拘束しようとする父清盛に対し、自分は法皇を守護すると宣言。
孝忠のはざまに立つ苦しい立場をのべ、いっそ重盛の首をはねよと清盛に求めます。
その後、重盛は小松殿に帰ると各地の武士に招集をかけました。しかしこれは、清盛の悪行を思いとどまらせようという重盛のはかりごとでした。
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あらすじ
重盛は清盛に対して、事が起これば法皇を守護すると宣言する。
奉公の忠をしようとすれば父の恩に反することになり、父に報いようとすれば 不忠の逆臣とならねばならない苦しい立場を述べ、いっそこの場で首を刎ねてくれと清盛に訴える。
清盛は狼狽する。
小松殿(自分の屋敷)に帰った重盛は、主馬判官盛国に命じて各地に散らばる侍たちを招集する。
西八条の清盛邸に集まっていた侍たちも、皆重盛の小松殿へ向かい、清盛のもとには一人も残らなかった。
清盛は後白河法皇の身柄を拘束することは諦め、鎧を脱ぎ、心にもない念仏を唱えていた。
重盛は、庭に集まった侍たちに、周の幽王の故事を語る。
周の幽王に、褒妣という最愛の后がいた。天下一の美人だったが、全く笑わなかった。
この頃、外敵が侵入してくると烽火を上げて軍隊を召集するならわしがあった。
ある時、敵が侵入して烽火を上げると、この后が初めて笑った。
幽王はそれ以降、敵が来なくても常に烽火を上げるようになった。
諸侯が来てみると敵はいない。いないのですぐに帰り去った。
こんなことが重なるうち、参る者もなくなった。
ある時、本当に敵が攻めてきた。
烽火を上げても、「またいつものことか」と、誰も集まらない。
ついに周の都は落とされ、幽王は滅ぼされた。この后は狐となって走り失せたのは恐ろしいことであった。
重盛はこの故事を語り、今回の召集は重盛の思い違いであったが、 今後召集しても今回のように集まって欲しいと、侍たちを解散さた。
もともと父と戦うつもりはなかったが、 清盛の悪行を思いとどまらせようと、このような召集をかけた。
後白河法皇は、このことを伝え聞き、「仇に恩で報いられた」と、重盛の人柄に感嘆した。
君(きみ)君たらずと云ふとも、臣(しん)もツて臣たらずンばあるべからず。父(ちち)父たらずと云ふとも、子もツて子たらずンばあるべからず。
朗読について
実家で朗読しました。田舎です。和室です。車の通りが少なく、録音に適した環境です。
腹の底から声を出して朗読できました。
実際目の前の人に聞かせる場合は、声は抑えたほうがいいです。
しかし録音の場合、なるべく太い音圧を確保したいのです。
最終的に音が痩せるからです。
声を出せる環境の確保が必要です。
「小教訓」「教訓」に続いて、清盛は重盛に怒られてます。
普段人を怒鳴りつけてばかりいる清盛ですが、重盛の前では シュンとなったり、狼狽したり…憎めない入道です。