平家物語巻第六「飛脚到来(ひきゃくとうらい)」です。
木曽義仲に続き、鎮西や四国でも反平家の動きが起こります。
あらすじ
伊豆の頼朝に続き、木曽義仲が蜂起します(「廻文」)。
平家の人々この動きを恐れますが、清盛は「越後には城太郎助長、助茂(じょうのたろう すけなが、すけもち)
兄弟がいる」と、動じません。
治承五年二月一日、城太郎助長が木曽義仲追討のため越後守に任ぜられます。
同九日、河内国で武蔵権守入道義基らによる反平家の動きが起こります。
十二日、鎮西(九州)にて緒方三郎維義らが平家に背き、源氏に同心したとの飛脚が到来します。
十六日、伊予国から飛脚が到来します。
平家同心の額入道西寂は源氏に通じた河野四郎通清を討ちますが、
子息河野四郎通信の復讐にあい、のこぎりで切られたとかはりつけにされたとかいうことです。
代々平家に同心していた紀伊国の住人、熊野別当湛増(くまののべっとう たんぞう)が源氏に寝返ったという知らせが届きます。
こうして各地で反平家の動きが盛んになっていく中、清盛は逝くのです(「入道逝去」)。
「飛脚到来」について
各地でアンチ平家の動きが起こっているのが、ダイジェスト的に語られます。
風雲急を告げる状況の中、次章「入道逝去」で清盛は逝くのです。
さすが英雄はドラマチックな状況で退場するものです。
ここで登場する鎮西の豪族、緒方三郎維義については、後に「緒環」の章でその先祖にまつわる不思議な物語が
語られます。