平家物語巻第四より「永僉議(ながのせんぎ)」です。
比叡山から協力要請を無視され、興福寺の軍勢はいまだ到着しないという中、
三井寺では話し合いが長引きます。
あらすじ
以仁王が保護を求めて三井寺に逃げ込むと(「競」)、
三井寺は比叡山、興福寺に協力を求めます(「山門牒状」)。
その協力要請を比叡山からは無視され、興福寺からはよい返事をもらうも肝心の軍勢がまだ
到着しないという情況下、三井寺の大衆は激しく討論します。
夜討ちにして一気に片をつけようという意見に対し、一如房の阿闍梨真海は、
今をときめく平家に小勢でかなうはずがないと主張。会議を長引かせます。
乗円房の阿闍梨慶秀は、昔天武天皇が小勢で大友皇子を破った例を引き、他人がどうだろうと
我らは六波羅を攻撃すると勇みます。
そこで円満院大輔源覚が音頭をとり、大衆一同、六波羅へ出発するのでした。
朗読について
平家物語最初の合戦シーンに向けて、物語が加速していきます。
平家物語を最初から読んでいくと、山門同士のいざこざや
鹿谷事件など、わりと地味なイベントをこなしつつ、ついに「以仁王の蜂起」という前半最大の山場へ向かうのです。
その一番のクライマックスが「橋合戦」です。
「橋合戦」は単体としても盛り上がる章ですが、こういう細かなエピソードを緻密に積み重ねた上に、そのテンションが爆発するのです。
「信連」「競」「山門牒状」「南都牒状」「永僉議」「大衆揃」「橋合戦」
ここらは一連の流れになっています。続けて読むと物語の加速っぷりがよくわかります。
朗読は、思いっきり(やかましいほど)声を出すよう心がけました。
こういう章は情感がどうこうのいうより、とにかく声量だと思います。
どうせ三井寺のオッサンたちも、大声で怒鳴りまくっていたに決まってます。
部屋の反響をだいぶ拾っていますが、それも音が太くなっていて、いいような。
「ガシッと手で掴めるような音」を理想としとるのですが、少しは近づいているかなーと思います。