平家物語巻第六より「嗄声(しわがれごえ)」です。
木曽義仲追討のために出発した城太郎助長(じょうのたろう すけなが)の軍隊の上に、
恐ろしいしわがれ声が響きます。
あらすじ
清盛が亡くなって(「入道逝去」)、直後の話です。
越後国の住人、城太郎助長が越後の守に任じられ、木曽義仲追討のために出発すると、
「仏敵平家に味方する者を召し取れ」と天から恐ろしい声が響きます。
郎党たちが恐れて出発をためらうところを、助長は強引に出発します。
ところが十町(1キロ強)も進んだところ、助長の頭上に黒雲が生じ、
助長は意識を失い落馬します。
舘に連れ帰りましたが、助長はすぐに絶命しました。
平家の人々はこれを聞き、恐れおののきます。
同年七月十四日、「養和」と年号を改めます。
筑後守貞能(ちくごのかみ さだよし)は、鎮西(九州)での半平家の動きを鎮圧するため、
西国へ出発しました。
また、臨時の大赦が行われます。
「妙音院殿」と呼ばれた藤原師長をはじめ、清盛の治承三年の政変(「大臣流罪」)により流されていた人々が
都へ帰されました。
按全大納言資方(あぜちのだいなごん すけかた)は、法皇から「久しぶりに今様をききたい」と
求められ、「信濃にあんなる木曽路川」という今様の歌詞を変えて、「信濃にありし木曽路川」と
歌いました。
配所で木曽路川をじかに見てきたので、こう歌いかえたのです。
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