平家物語巻第十二「大地震(だいじしん)」です。
元暦二年(1185)七月、京に大地震が起きます。
あらすじ
元暦二年、平家一門は壇ノ浦に滅亡します(「内侍所都入」)。
同年七月九日、京に大地震が起きます。
未曾有の大地震で、多くの人命が喪われます。
安徳天皇が海に沈み、宗盛や重衡というかつて大臣・公卿の位に
あった人たちが処刑されたので、その祟りではないかという噂されました。
「元暦の地震」については、鴨長明「方丈記」や、中山忠親「山槐記」、慈円「愚管抄」、「吾妻鏡」などにも描かれています。余震は3カ月も続いたそうです。
よほど強烈な、同時代的な記憶だったのでしょう。
安徳天皇が亡くなったことと、平家一門の処刑に関連づけて
語られているところがポイントです。
平家物語は天災を描写するときも、必ず人事にからめて語ります。
巻第三「辻風」では、台風が重盛の死の前兆として語られています。
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