平家物語巻第十より「猫間(ねこま)」です。
都入りした木曽義仲の無骨な振る舞いが容赦なく描かれます。
あらすじ
鎌倉で頼朝に院宣を授けた中原泰定は(「征夷大将軍院宣」)、都に上り事の次第を報告します。
頼朝の優美な態度を聞き、法皇以下感心しました。
一方、木曽義仲は都の守護についていましたが、その立居の無作法さは、
ひどいものでした。
ある時猫間の中納言光高卿(ねこまのちゅうなごん みつたかのきょう)という
人が、義仲の館を訪問しました。
「猫間」とは、館の所在地を指しているのですが、義仲はこの中納言を
「猫殿」と決め付け猫扱いし、さまざまな無作法をしたので、中納言は用事を
告げる前に不機嫌になり退出してしまいました。
にわかに狩衣を着て正装した姿は、目も当てられないほど無様でした。
牛車へ乗る作法もひどいもので、「牛飼」という言葉を知らず
「子牛こでい」と呼び、車には後ろから乗り前から降りるという作法を知らず
後ろから降りるなど、牛飼いからも呆れられる始末でした。
義仲の無骨さが、やや大げさに語られています。普段はあまり地の 文には抑揚をつけないのですが、「あー、もうしゃーねぇなぁこの男は。ヤレヤレ」 的ニュアンスが出るよう、朗読しました。
「蝶が羽を広げたように」ブッ倒れて、ジタバタするところなど、 たいへん可愛くユーモラスで、平家物語ではかなり悪く言われている義仲ですが、 憎めない人物です。
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